こんにちは、虚空蔵です。
今日は、ちょっと癖のある逸品がそろっているベルギー軍の中でも、際立ってラギッドな、ベルギー軍 M-64パンツ をご紹介します。
軍パンといえば、厚い・重い・太い というイメージではありませんか?
確かにそう。
それが、軍パンにおいてのメリットであり、デメリットにもなるところです。
今日ご紹介する、ベルギー軍 M-64パンツ は、まさにその3点の特徴を兼ね揃えたパンツ。
しかし、1点だけ、いや0.5点だけと言った方が正しいでしょうか、厚い・重い・太い、3つのいわゆる軍パンの特徴から、少しだけズレがあるんです。
それが、このパンツの最大の魅力でもあります。
そのポイントは?
それでは、早速詳しく見ていきましょう!
■ 軍パンの特徴を持ちつつ、先鋭的なパンツ!
ベルギー軍には、個性的なアイテムがかなりありますが、こちらのパンツもその伝統をしっかりと受け継いでおり、今回ご紹介する M-64パンツ も、イギリス軍やフランス軍とは少々変わったお品、と言えるでしょう。
その前に、M-64 というと、フランス軍の M-64 シリーズが有名ですが、こちらは同じ M-64 でもベルギー軍のもの。
同年代に、ヨーロッパで製造開始されたということで、コンセプト的には近いものがあるのかもしれません。
フリマアプリなどで、検索すると、たまにこのパンツをフランス軍のものとして紹介されている場合もあったりしますので、ご注意を!
まあ、こちらはこちらで、魅力たっぷりなんですけれどね。
■ うちの ベルギー軍 M-64パンツ は・・・
さて、そんなベルギー軍の M-64パンツ ですが。
うちにある ベルギー軍 M-64パンツ は・・・
- 1980年製
- サイズ:4A
- SEYNTEX製
という1本です。
【 ABL 】はフランス語と、オランダ語の両方で、”ベルギー軍”の頭文字。
フランス語でベルギー軍は「ArméeBelge」つまり、「AB」
オランダ語でベルギー軍は「BelgischLeger」つまり、「BL」
これらを合わせて【 ABL 】という説です。
そもそもベルギーの首都ブリュッセルは、フランス語とオランダ語の二言語併用地域。
フランスとオランダに挟まれた、複数語圏であるベルギーという国ならではのネーミングではないか?という気がしています。
1980年は、
SEYNTEXは、オランダ軍の主要納品業者、ユーロミリタリーではもっとも有名ですね。
4Aの横に表記されている、【6570】は身長表記でしょう。
165cm~170cmの方に推薦されるパンツ(本当に、165cmの方が着用されたら、ちょっと長めかも知れません。)
【8090】は、ウエスト80cm~90cmですかね?
ウエストかな?ウエストの幅が10cm許されるって、あり得ますかね?ということですと、胸囲なのかな?仮に、ということですと、例えばフランス軍だと、80~88サイズということでしょうか。
確かに、後ほどご紹介しますが、ウエスト部分にはボタンで調整可能なアジャスターが着いているので、普通のパンツよりもサイズ調整の幅は広いと思いますが。
4A というサイズ感がわかりにくいですが、実際のサイズはこんな感じです。
- ウエスト:86cm
- 総 丈 :101cm
- 腿 幅 :38cm
- 股 上 :68cm
- 裾 幅 :14cm
と、特に目立つのが、腿幅から裾幅へのギャップではないでしょうか?
間違いじゃないの?と思われても仕方ないレベルの差ですよね。
そう、これがベルギー軍M64パンツの大きな特徴なんです!
厚い・重い・太い、の軍パンの特徴を兼ね備えつつも、太い という特徴から、0.5ポイントだけずれたのが、腿幅から裾幅へのテーパード具合なんですね。
フランス軍のM47パンツや、アメリカ軍のM65パンツなど、裾までズドーンと太い、いわゆる軍パンも格好いいのですが、ベルギー軍のM-64パンツは裾がテーパードされていますので、くるぶしを出して穿くような着こなしも可能なんです!
その上、裾幅をベルクロで調整できる機能までついていますから、自分の好みの裾幅に(ある程度は)調整もできるんですよ!
これから紹介しますので、ご覧ください!
■ ベルギー軍 M-64パンツ の最大の特長は、腿から裾へのテーパード!
M-64パンツ のパーツは?
さて、パーツを詳しく見ていきましょう!
まずは、全体。
股上はかなり深め。
腿パーツは相当幅ありますので、どんな方でも入ると思います。
対して、裾にかけて、ギュギューっと細くなります。
膝の部分は、布が二重になっているダブルニー仕様です。
これも、このパンツが重い原因の一つではありますが、丈夫さについては折り紙付き!
フロントです。
トップのボタンも含めて、全てのボタンが比翼式で隠されています。
ベルトループはすべてボタンで留められるスタイルになっています。
ループの幅は、広めな方だと思いますので、幅広のゴツめのベルトでも合わせることができるでしょう。
生地感が伝わるでしょうか?
フランス軍のサテン300のような、光沢感のあるコットン生地で、経年変化も楽しめそうです。
しかし、フランス軍と少し違った、濃く暗めのグリーンが、ベルギー軍の特徴的な色味ですね。
生地は、かなり厚めの生地感。写真だけでは伝わりにくいですよね~。
右腰部分には、小さなポケット。
このポケットは何を入れるための装備だったのでしょうか?
サイズ的にも、間違いなく、何か固定のものを入れるための装備だったと思われます。
スマホを入れるには、ちょっと小さいサイズ感かなぁ。
両腰には、スラッシュポケット。
ちょうどよい位置につけられており、ポケットへのアクセスも非常に良好。
モノがこぼれ落ちる心配も少ないと思います。
自然にポケットに手を突っ込みたくなること間違いなし。
左サイドのカーゴポケットです。
カーゴポケットの前サイド・下側・後ろサイドともにマチが無く、ぴったり縫い付けられたスタイルになっています。
つまりは、叩きつけタイプのポケットということですね。
これは、広めの腿がそれ以上ブカブカに見えない、ということに、一役買っています。
カーゴポケットのフラップを開けてみました。
フラップ部分のパーツが、非常に独特な形状をしています。
また、カーゴ部分のマチの取り方が、ベルギー軍の特徴が表れていますね。
このマチの取り方は、同年代のベルギー軍のファティーグジャケットの、胸ポケットにも見られる形式です。
両足、斜めからです。
パーツ、ゴツいでしょ?
前パーツでも、後パーツでもタックが入っていて、テーパードされていますよね。
前から見ても絞り込んでているのがわかりますし、横から見ても同じく。
ここらへんのパーツをご覧いただくと、生地の厚みをなんとなく感じて頂けるかもしれませんね。
これが、ベルギー軍M64の最大の特長。
両足のスネ部分が、ベルクロでめくれるようになっているんです。
これは、他のパンツであまり見られないレア仕様なんじゃないでしょうか。
ふくらはぎによりフィットさせて、ブーツインする際の違和感を少なくするためだったのではないかと想像します。
左右両方の腰、少し後ろ側に、アジャスターがついています。
こちらのアジャスターのおかげで、ウエストサイズで5~6cmほどは絞ることができるようになっています。
バックスタイルです。
こちらの写真でも、布地の厚みが感じられますね。
前述したように、フランス軍のサテン300のような、光沢感のある記事ですので、分厚い生地感ではありながら、ドレープのように見えるのがこのパンツのオイシイところです。
おしり部分。
ぶ厚く、逆ハート型にあて布が当ててあります。
これが破れるまで履くためには、何度・何日・何年、履かねばならないんでしょうか(笑)?
ここは珍しいかもしれません。
膝パーツですが、後ろ側も2重になっているという。
普通は、ひざの前部分だけがダブルになっており、折り曲げの意味からも後ろ側は一重になっていることの方が多いのではないかと思います。
後ろ側が二重というのは、かなり珍しいのではないでしょうか?
正座は厳しいです(笑)。
バックポケットです。
フラップ付き、丁寧な縫製による運針です。
バックポケットの上あたりに、ウエストサイズ調整用のアジャスターパーツがあります。
ベルトループはすべてボタン式で開放することが可能です。
これ、何のために外せるようになっているのか?と思っていたのですが、
一説によると・・・
パンツ内側です。
この写真は、背中側の腰部分内側です。
なぜ、パンツの内側にボタンが?
それは、サスペンダーを着けるためなんですね。
サスペンダーを着用する際に、さっきのベルトループを外しまして、内側に折り込むことで、サスペンダースタイルを完成させることができる。ということらしいです。
私も、せっかくのサスペンダーが使えるパンツ、ということでやってみたのですが・・・。
- なんか似合わない。
- 重い・・・。
そう、似合わないのは慣れもあるんでしょうが、それ以上に重いんですよ。
重みすべてが、肩のサスペンダーに乗ってくるので、次の日経験したことのない筋肉痛が発生し、それ以来チャレンジしてません。
インスタなんかを見ていると、おしゃれ上級者で、このM-64パンツを大きめのサイズセレクトし、サスペンダースタイルで着用されている方もいらっしゃって。
シンプルなTシャツに、M64パンツのサスペンダースタイルにニット帽、とか、カッコいいんですよ!
センスある方は、ぜひチャレンジしてみてください!
M-64パンツ のサイズ感は?
それでは、着用してみましょう!
ベース、身長178cm、72Kgに対して、【4A】 着用です。
穿いてみると、こんな感じ(;^ω^)・・・
1着目は、
シングルライダースと合わせてみました。
腰から膝にかけて、結構太さがあるのが見て頂けると思います。
一方で、写真スクロール頂いて、ひざ下だけご覧いただくと、くるぶし丈のテーパードパンツのようにも見えませんか?
ということで、腰から腿にかけての軍パンらしい太さ、からの、裾にかけてのテーパード具合が、他の軍パンにはない、ベルギー軍M64の魅力だと思います。
上着はラムレザーのシングルライダースを着用。
肩から掛けているのは、中国人民解放軍のショルダーバッグ。
1996年に南京の解放軍商店で購入したもの。
サイズ感が程よく、20年以上お付き合いしています。
シューズは、USNAVYのサービスシューズ、です。
こちらは、夏のファッション。
Tシャツ1枚と合わせて。
真夏はさすがにパンツの厚さに辟易すると思いますが、くるぶしを出しての着用ができるので、初夏・晩夏くらいの時期であれば、まだまだ着用可能ですよ。
個人的には、この合わせ方好きなんですが、インスタ上では全然人気無いです(笑)。
ウエストが、非常に深めのハイウエストタイプとなっていますので、Tシャツなどの着用時にタックインするのは、バランスが難しいです。
タックインしたいのであれば、前述したサスペンダースタイルの方が、らしく、見せることができるかもしれませんね。
次は、秋口ごろのスタイルです。
無印良品のデニムシャツとシンプルに合わせてみました。
バックスタイルは・・・こんな感じ。
結構足首見えますよね。
普通の軍パンだと、カーゴポケットが、もっとモリっと主張していると思いますが、こちらのパンツは叩きつけで、縁にマチが無いタイプなので、センター部分にあるマチだけが見えるため、非常にシンプルに見えると思います。
そのため、逆三角錐▼型のパンツのシルエットがより強調されているんではないではないでしょうか。
■ まとめ (ベルギー軍 M-64パンツについて)
ということで、今回はベルギー軍のまさに尖ったアイテム、M-64パンツ をご紹介しました。
もし、あなたが「みんなが持ってる軍パンじゃ面白くないな、軍パンらしいけど尖ったアイテム無いのかね?」なんて思っているのなら、このベルギー軍 M-64パンツは、結構ドはまりすると思いますよ!
古着屋さんでは、なぜか、あまり出合ったことがありませんが、ネットショップなどではまだ中古が手に入りますし、フランス軍のパンツと比べればまだ手に取りやすい価格です。
人とも被りにくいですよ。
サッカー・自転車系の、太もも&お尻が立派な若者にも本当にオススメ。
軍人さんが入るんだから、絶対大丈夫。
もちろん普通体形の方も、テーパードが好きな方は気に入ってもらえるはず。本当に、唯一無二のシルエットだと思います。ぜひ探して、手に入れて欲しいですね。
それでは、また!
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