こんにちは、虚空蔵です。
今日ご紹介するのは、フランス軍のM-64パーカー。
フランス軍で、60年代から製造されたM-64シリーズの、アウターにあたるコートです。
アウターなので、もともと造りは少し大きめなシルエットになっているので、最近のファッション界のビッグシルエットの流れで再度注目が集まっているのか、価格も高騰してきています。
それでは、紹介いってみましょう!
■M-64パーカーは、フランス版のモッズコート!
今日ご紹介するのは、フランス軍のM-64パーカー。
フランス軍の名作シリーズ、M-64シリーズ。
M-47シリーズをお持ちの方も多いと思いますが、M-47シリーズが値上がりし、随分枯渇してきているようで、M-64シリーズもネクストビンテージといわれ始めている様子。
このM-64シリーズですが、
- M-64ジャケット
- M-64パンツ
- M-64パーカー
の3アイテムが古着市場でも良く見られます。
私個人的にも、このM-64シリーズは3点ともにいずれも劣らぬ名品だと思います。
それぞれのジャンルで、1位を差し上げるほどに良品ではないでしょうかねぇ。
それもあってそれぞれをきっちり紹介したい!という思いで、このシリーズの紹介遅れちゃってました(言い訳)。
さて、今回ご紹介するコートは、そのM-64シリーズにおいて、もっとも外側のアウターにあたるパーカーです。
ライナーとの一体型になっており、
- ライナーと合体しての防寒仕様
- シェルのみで軽やかに使用
- ライナーのみでファッショナブルに使用
と3つの使い方ができます。
後ほどご紹介しますが、私のM-64はアウター部分をジャストサイズで合わせているので、ライナーの袖丈が短めなため、ライナーだけで着用するとサイズが合わないので、ライナースタイルは遠慮している次第です。
女性の方が、ライナーをオーバーサイズで着用していると、とても雰囲気ありますよね。
フルセットのものを購入して、アウターシェルは男性が、ライナーは女性が使ったり、という使い方は二重においしい使い方かも!
■ うちの、フランス軍のM-64パーカーは・・・。
うちにある、フランス軍のM-64パーカーは・・・。
- 1986年製
- サイズ:86C
- U.T.A.H製造
という一着です。
【86C】サイズは、
- 裄丈:86㎝
- 着丈:86㎝
- 身幅:60㎝
こんなサイズ感ですね。
ラグランスリーブですので、肩幅、袖丈は計測できません。
NATOサイズで、【5060/7585】ですから、
身長150~160㎝・胸囲が75~85㎝ の方への着用サイズ、ということになります。
私はスーツスタイルにも合わせたかったので、ジャストサイズで着用することをイメージしていましたので、あえて【86C】を選択しています。178㎝ですが、小さすぎるということはないと思います。
まあ、軍装品として考えれば、M-64ジャケットを着用した上に、ライナーも重ねて羽織るものでしょうから、基本はオーバーサイズに着る想定。
アメリカ軍のフィッシュテールパーカーのように、ガバーっと大きめに着こなしたい、という方は、私の身長ですと【92】以上のサイズのほうがイメージに近いでしょう。
実は、このM-64パーカー、うちには【86C】のフルセットが2着ありまして。
- 1着目は、シェルが86C・ライナーが92C ※着画はすべてこちら
- 2着目は、シェルが86C・ライナーが86C
ライナーまで86Cのものは、より珍しいかも。
1着目はデッドストックで購入。
2着目中古での購入でしたが、デッドストックの折り目が残っているレベルでしたので、ミントコンディションで手に入れたことになります。
ただ、この2着目の方は、ライナーが若干ですが縮んでしまっているようで、ボタンの位置が微妙にずれてしまっているのが難点。
ライナー側のボタンを移動させればいいだけなのですが、元の姿のままにしておくのが正解なのか?
悩んでしまいます。
いずれにしても、【86C】は、今後も手に入りにくくなるでしょうから、2着目は保存版ということで(笑)。
でも、ライナーもあり、布地に厚みがあるので、保管しておくにも場所とるんですよねぇ・・・。
■ M-64パーカー、シンプルかつ品の良いミリタリーコート!
さて、このM-64パーカーですが、
一言でいうと、【 フランス軍らしい、品の良いモッズコート 】
とまとめてしまっても過言ではないかと。
M-64シリーズに共通する、コットン100%の素材でありながらも、光沢感のあるオリーブグリーンの生地感。
しっとりした輝きが感じられます。
経年変化をしていくと、生地表面にうっすらと白い毛のようなものが浮かんできます。
ピーチ起毛ではないんですが、その毛足が非常に短いものをイメージしていただければ。
軍モノの中でも珍しい経年変化をする一着だと感じます。
そして、シンプルなシルエット。
外観にほとんど無駄なパーツがありません。
軍モノなので、無駄なパーツがないのは、当たり前ではありますが、ファッション的に見てもごちゃつく感じが全くないのは、普段着としても非常に使いやすい点かと思います。
C(短め)タイプでもスーツの裾がはみ出さない、ショートコートのような丈感も、使いやすいポイント。
※これは、丈がCなので。Lを選べばロングコートのようにも着こなせます。
さらに、肩回り
軍モノによくみられる、エポレットが無く(苦手な人も多いですよね)、肩の張りを感じにくいラグラン袖になっている点もフランス軍らしくて良い点!
ラグラン袖のおかげで、肩の位置が固定されないので、いろんな方に着こなしていただけるはず。
また、あえて大きめサイズを選んでも、着られている感が少ないと思います。
ということで、軍モノではありながらも、非常に大人っぽいオリーブ色のコートなんですね。
どんな方でも、どんなシーンでも活躍してくれる万能選手ではないでしょうか!
フランス軍 M-64パーカー のパーツは?
さて、パーツを詳しく見ていきましょう!
まずは、全面、全体像です。
こちらの写真では、ライナーを入れた状態で撮影していますので、全体的にふくらみが感じられると思います。
ライナーを入れた時の防寒性は、かなり高く、過去の実体験として、体の芯から冷える冬季の中国内陸部に着ていったことがありますが、その際も全く問題ないほど防寒性は強力でした。
街中での利用だと、フルセットは少しオーバースペックかもしれません。
電車や店舗内だと、暑いかも。
全体の雰囲気では、ラグランスリーブで、肩に縫い目がないのが非常に特徴的ですね。
軍モノですと、アウターにもエポレットがついたものも多いですが、M-64パーカーは、このラグランスリーブのおかげで、肩のいかつさが抑えられる効果がありますね。
肩から、なだらかに広がるAラインシルエットが作りやすいコートです(シェルだけの場合は特に)。
襟付近を見ていきましょう。
まずは、フード。
フードは本体と一体型になっており、取り外しすることはできません。
軍モノのコートでライナーがあるものに関しては、フード内までライナーがカバーするものが多いですが、M-64パーカーは、ライナーは体部分のみで、フード内部はカバーしないつくりになっています。
また、軍モノパーカーだと、ヘルメット装着のままフードを被る想定になっていて、フードが非常に大きいものも多いですが、M-64パーカーは、普通サイズとなっています。
なので、フード周りは本体のサイズ感と比較すると、非常にコンパクト。
主張は少なめかと思います。
フードにはドローコードが入っており、絞れる仕様となっています。
正面を降りていきます。
前立て部分。胸からお腹にかけてです。
前立て胸部分に、ベルクロのパッチがついています。
F-2ジャケットなどでもみられる、フランス軍独特の仕様ですね。
所属章などを取り付けていたのでしょうか?
いつも思うんですが、この位置、作業するのに邪魔じゃなかったのかしら?
鳩尾あたりに、ベルクロの部隊章とかがついていたら邪魔ですよね??
前立て部分です。
開閉は、ジッパーとボタンの2重式が選択されています。
ジッパーを閉めた後に、ボタンを閉めるタイプ。
ボタンを閉めると、比翼式でボタンが隠れるようになります。
そのため、フルで締めた際、フロント側から見るとジッパーもボタンも見えませんので、非常にシンプルに見えると思います。
従軍行動の際、ボタンの引っ掛かりが邪魔にならないようにする配慮でしょう。
フロントのジッパー部分です。
非常に味のある、時代を感じさせるジッパーです。
残念ながら、ロゴが入っていないため、メーカーなどは分かりませんでした。
引手として、ドローコードがついています。
フロントのボタンは、かなり大きめ。
ジッパーの一番下、エンド部分です。
デッドストックにありがちですが、青錆が浮いています。
デッドストックで購入した当初は、ジッパーの滑りが悪かったですが、潤滑油を少し塗ってあげればスムーズに開閉できるようになりました。
生地を汚したくない方は、直接噴射ではなく、麺棒で塗るとか工夫した方が良いかも!
青錆は磨けば取れると思いますが、あえてそのままにしています。
生地がかなりきれいな状態なので、この個体の歴史を感じられるパーツがここしかないので、あえて味を残しておこうかと・・・。
ポケットは、フラップ付き。
スナップボタンで留めるスタイルになっています。
若干ですが、体の外側が低くなるよう、斜めに取り付けられているので、手を入れる際、非常に使い勝手もよいです。
フラップを開けたところです。
スナップボタンは2つ。結構がっちり留まります。
フランス軍でよく採用されている、凹凸のあるオリーブグリーンのスナップボタンです。
M-64ジャケットなどでもみられる、開けたところがポケットの入口ではない、袋状になったポケットとなっています。
そのため、ポケットに入れたモノが落ちやすい、といった心配は少ないでしょう。
まぁ、ポケットの容量が大きい(深い)ので、そもそもその心配少ないんですが。
タブレットなども余裕で収容できますから、手ぶら派の人には便利ですね。
お次は袖先です。
ボタンで開閉できるようになっています。
袖先のボタンは、フロントのボタンと同じようなサイズで、結構大きめ。
意外とアクセントになってくれていると感じます。
いつの間にか、油汚れが黒くついてしまっていますね。
まぁ、そんなことも魅力的に思えるというのも、軍モノの楽しいところですね。
基本はボタンを閉めて着用することが多いですが、スーツに着用の場合は開けたままで着用していることが多い気がします。
開く部分のガゼットが丁寧に付けられていて、M-64シリーズの縫製レベルの高さを感じられますね。
次は、背面。
全体的にとてもシンプルなつくりになっていますね。
なにより、ラグランスリーブの効果で、(軍モノだと一般的に、エポレットありで肩が張って見えると思いますが、それと比較すると)肩のラインがゆったりとなだらかに降りてくるように映ります。
この「軍モノなのに、柔らかな丸みを帯びた雰囲気」がM-64パーカーの、人気の理由ではないでしょうか。
フード部分です。
フードの中には、ライナーはついていませんので、シェルと同様の布が1枚、でのつくりです。
そのため、サイズは比較的小さめ。
ヘルメットごと収容してしまうようなタイプのフードではありません。
非常に小型でシンプルです。
背面の、ウエスト部分です。
ウエスト部分には、ドローコードが通っています。
これを絞ってウエストを強調することが可能。
ライナーを入れた際も、ここを適度に絞ってあげることで、より体にフィットし暖かく感じます。
オーバーサイズを選んだ場合も、大きすぎて寒い、ということを避けることができますね。
見ての通り、細めのドローコードが1本通されています。
シンプルにひもが通っているだけ。
留め具などもありません。
ユーズドの品だと、このドローコードが抜け落ちてしまっているものも、よく見られます。
ドローコードを閉めたまま使用していると、上記のようにしわができ、あたりが出てきますね。
私は、アウターだけの利用の際も、フルセットで利用する場合も、いずれもドローコードを少しだけ絞って着用しています。
インナーが入っても、それほどタイトには感じることなく使用できていますね。
ライナーを装着します。
右前はこのように小さめのボタンがライナーの外側についていますので、そのボタンをシェルについているホールに通します。
右手側のライナーボタンは表から見える形式となります。
左手側のライナー装着です。
左側は、ジッパーの内側にボタンホールがありますので、ここに装着します。
ジッパーより内側にあるので、こちらは装着後はライナーのボタンは見えなくなります。
襟元のライナー装着部分です。
シェル側にボタンホールだけがついた、吊革のようなパーツが3つ出ていますので、
こちらにボタンを通すスタイルです。
袖先のライナー装着も、襟もとと同様、ボタンホール用の布パーツに、ボタンを通すスタイルとなります。
こちらも袖の中での装着となりますので、装着後は見えなくなります。
また、こちらのパーツは袖の奥の方に縫い付けられており、シェルだけ使用する場合も、外からは見えない仕様となっています。
ライナーのみを正面から。
左右共にボタンがついており、ボタンホールはありませんので、ライナーだけでの着用はそもそもは想定されていなかったようですね。
ライナーも、シェルと同様、ラグランスリーブになっています。
首元に、シェルに装着するためのボタンが見られます。
こちらがライナー外側の生地感。
ザラっとした、固めのセーター生地のような雰囲気です。
編地がしっかりしているのか、結構シャキッとした生地感なので、やわらかい毛布のように体に沿ってくれるようなことはありません。
ライナーだけで着用すると、あまり体のラインは拾わないのかも。
こちらがライナーを裏返したところ。
もふもふ(ボア)がついているほうが、インナー(体)側にくる仕様です。
女性で、こうしたインナー側を外に見せて着用されている方、多いですよね。
後ろから見ると、よりシンプルですね。
私の個体は、ライナーのタグがなくなってしまっているので、さらにシンプルに見えると思います。
本来であれば、このインナー側の首元にタグが付いているはずです。
(こちらの個体も、よく見ると、うっすら縦長の長方形のタグ後が残っていますね)
短めの毛足が付いたボアフリースのような雰囲気(アメリカ軍のGen3フリースよりも毛足長く、部屋に敷くラグのような毛足。)で、シェルに入れた時の保温性が非常に高いです。
しかしご注意を。
ライナーの防風性は皆無に近いため、ライナー単体で着用すると、普通のフリース以上に風を通しますので、特にもふもふ側を外側にして着用した場合、ほぼ保温性はないものと思っていただいたほうがよいかと・・・。
ライナーのみの着用は、ファッションとしては”あり”。防寒具としては?・・・ってことですね。
シェルと合わさると、一気に保温性高まるんですけどね。
もふもふのアップです。
シェルの防風性が合わさって初めて、保温性が高まります。
フロントのジッパーとボタンを留めると、ライナーが暖かい空気を保持してくれるので、毛布着ている感覚で、都市部の冬なら完全にオーバースペックだと思います。
フランス軍 M-64パーカー のサイズ感は?
それでは、着用してみましょう。
ベース、身長178cm・体重72Kgに対して、【86C】着用です。
羽織ってみると、こんな感じ(#^^#)・・・。
1着目はスーツスタイル。
こんな感じで、普通にスーツスタイルと合わせています。
ネクタイスタイルでも、(オフィスカジュアルがOKならば、ですが)それほど違和感感じないのでは?
さすがに、スーツの肩の張りがありつつ × ライナーまで着用となると少しタイトな感があるのですが、窮屈とまではいきません。
あとは、スーツスタイルにM-64パーカー来ていると、相手の年代によっては「青島」といわれる可能性があるのがデメリットでしょうか・・・?
2着目は、カジュアルに。
インナーにデニムジャケット、下半身はブラック一色で。
上半身、結構薄手ですが、M-64にライナー装着しているので、結構ボリューム感がありますよね。
ライナーつけて着用するのがメインだと思われる方は、ワンサイズ上げてご検討ください!
3着目もジャケットスタイルですが。
こちらは、シェルだけで着用しています。
私個人、実際には、シェルだけで着ている期間のほうが長いと思います。
M-64パーカーは、ボタンとジッパーの2重開閉になっていますので、ボタンの上部だけを留めれば、このように下部を開かせることができます。
これによって、Aラインも作りやすくなりますので、お持ちの方はぜひお試しを!
結果、私の場合【88C】でジャストサイズに着用することを目的に購入していることもあり、スーツスタイルで使っていることが多いようです。
もちろん、街着としてカジュアルシーンに使っても、かなり使えるアイテムですので、ご心配なく!
■ まとめ(フランス軍M-64パーカー)
さて、今日は、フランス軍のM-64パーカーをご紹介しました。
このM-64パーカー。スーツスタイルにも、カジュアルスタイルにも合わせることができて、ライナーとシェルに分かれることで、かなりの気温差に対応できる。つまり秋~春にかけての長期間の使用が可能なかなり良い品です。
特に「アメリカ軍のモッズコートが、ラギット・男らしすぎる!」と思っていらっしゃる方には、こちらのM-64パーカーは本当におすすめ!
「「青島」って思ったかもしれんけど、こっちはおフランスだからね~」とか、密かに楽しめるかも。
デッドストックの品でしたら特に、キレイめコーデに合わせても違和感ありませんので!
とはいえ、このM-64パーカーも、毎年値が上がっていっております。
(2023年現在で、デッドストック品は私が購入した時の3倍の値段!!!)
気になった方は、古着屋さんなどでまずは一度袖を通してみてください。
気に入ったなら、早めの購入がベターかもしれませんよ~。
それでは、また!
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